新妻香織(基金理事長)がフー太郎と共にエチオピアを旅したのは、30年に渡る内戦を終えたばかりの1994年のこと。その時エチオピアは、かつて国土の40%あった森を4%にまで減らしてしまっていました。
木がなくなった土地は水を溜めることができません。乾いた土地からは、降雨や風の作用で土壌が流れ出ていきます。エチオピアの土壌流出量は、年間10億トンと言われています。これによって作物生産力の高い表層も流れ出してしまうため、農業も立ち行かなくなってしまうのです。
木がないということは水がなくなるということ。そして土がなくなるということは作物を生産できなくなると。そしてこれがエチオピアの現状なのです。
一本一本植えられた木は、やがて林になり、そして森になります。地中にはたくさんの根が発達し、これが土砂をしっかりと保持し、やがて地表が様々な下草等によって覆われる頃になると、山の土壌の流出は抑えられます。
たくさんの木が生い茂った山は、その木の根や、地上に落ちた枯葉によって出来た腐葉土により、まるでスポンジのように水を溜め込むことができるようになります。
山の土壌に溜まった水は、雨が降ると溜めきれなくなった分が流れ出していきます。この水が低い方へ流れていくことで集り、やがて川になります。
水は全ての生命の源。川の流域には草花が生え始め、次第に緑を取り戻していきます。
緑を取り戻した土は養分を蓄え、ここでやっと作物が作れる「土」ができあがるのです。
こうして出来た土地の雑草を取り払い、耕し、種を蒔き、育て、やっと収穫が出来るようになります。このようにして収穫した作物を食べることで、私たちは生きているのです。
エチオピアではまだ、多くの人々が木を燃料として使っています。この燃料が確保できることで、人々の生活は安定します。
しかし、木が育つ早さ以上にその木を伐採してしまっては、また木がない状態に戻ってしまいます。そうならないように、現地の人々に森の大切さを理解してもらい、計画的に利用していくことが出来るように教育するのも、私たちの重要な役割です。